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単価・お金

「還元率80%」の落とし穴。その数字に、社会保険料の会社負担分は含まれていますか

デスクで電卓と給与明細らしき書類を並べ、数字を突き合わせているビジネスパーソンの手元

結論

還元率は、数字の大小だけで比べても意味がありません。「還元率80%」と「還元率65%」が並んでいたとき、額面給与が高いのは必ずしも前者ではないからです。両者は多くの場合、そもそも違うものを測っています。

差を生んでいるのは社会保険料の会社負担分を還元率に含めているかどうかです。会社負担分は額面給与のおおむね15%前後に相当します。これを「還元」に数え入れるか、別建てで会社が負担するかで、同じ実額でも表示される率は10ポイント以上動きます。

だから、率を見たら必ず一言確認してください。「その還元率に、社会保険料の会社負担分は含まれていますか」。この一問で、比較できない数字の大半は比較できるようになります。

根拠

なぜ同じ「還元率」という言葉が、これほど違う意味で使われるのか。3つに分けて分解します。

1. 還元率には「額面ベース」と「社保込みベース」の2種類がある

還元率とは、客先からの受注単価のうち、どれだけがエンジニアに還元されるかを示す指標です。問題は、この「還元」に何を含めるかが各社の裁量に委ねられていることです。

  • 額面ベース:エンジニアに支払う額面給与だけを分子に取る計算です。社会保険料の会社負担分は還元率の外に置き、会社が別途負担します。求職者から見て最も検証しやすい形です。
  • 社保込みベース:額面給与に加えて、会社が負担する社会保険料(さらに交通費や機材費まで含める例もあります)を分子に足す計算です。同じ支給額でも率は大きく見えます。
  • どちらも嘘ではない:会社負担分も実際に会社が支出しているコストなので、含めること自体が不当とは言えません。ただし定義を明示せずに数字だけを打ち出せば、比較する側は必ず誤解します。業界メディアでも、社保込みで70%なら額面ベースでは60%前後に落ち着き、業界平均並みになる、という指摘がされています。

2. 単価60万円で計算すると、80%と65%の差は月2.7万円まで縮む

抽象的な話に留めず、実際に計算してみます。社会保険料の会社負担は、健康保険と厚生年金が労使折半(厚生年金の保険料率は18.3%なので会社分は9.15%)、労災保険は全額会社負担、雇用保険も会社負担の方が大きく設定されており、合計すると額面給与のおおむね15%前後になります。

  • A社「還元率80%」(社保込みベース)の場合:単価60万円 × 80% = 48万円が還元の原資です。ここから会社負担分を出す必要があるため、額面をXとすると X + 0.15X = 48万円。額面は約41.7万円になります。
  • B社「還元率65%」(額面ベース)の場合:単価60万円 × 65% = 額面39.0万円。会社はこれとは別に約5.9万円の社会保険料を負担します。合計の支出は約44.9万円で、これを社保込みの物差しに直すと単価の約75%に相当します。
  • 見かけの15ポイント差は、実額では月2.7万円:41.7万円と39.0万円の差です。決して小さくはありませんが、「80%対65%」という表示から受ける印象とは別物です。物差しを揃えれば、80%対75%の勝負でしかありません。

3. 分母と控除項目まで確認しないと、率は比較できない

分子(何を還元と数えるか)だけでなく、分母と、率の外側にある控除にも各社差があります。

  • 分母が受注単価とは限らない:受注単価そのものではなく、営業経費などを差し引いた後の金額を分母に置けば、同じ支給額でも率は上がります。「その%は、客先からの受注単価に対してですか」と確認してください。
  • 率の外で引かれるものがある:交通費、PC・機材費、社内システム利用料などが給与から控除される契約になっていれば、高い率も手取りには直結しません。控除項目の有無は率とは別に確認が必要です。
  • 最も注意すべき形:業界メディアでは、社会保険料の会社負担分を還元率に含めたうえで、その会社負担分を実際にはエンジニアの給与から差し引くケースが指摘されています。本来会社が負担すべきものを本人に付け替える形であり、率の表示以前の問題です。給与明細で確認できます。

行動提案

率に振り回されず、自分の実額を自分で把握するための3つのアクションです。

1. 面談では、率ではなく定義を聞く

「還元率は何%ですか」という質問だけでは、返ってきた数字を評価できません。定義を先に確認します。

  • この一問から始める:「その還元率に、社会保険料の会社負担分は含まれていますか」。含む・含まないの二択なので、誠実な会社であれば即答できます。
  • 分母も確認する:「%の分母は、客先からの受注単価そのものですか」。ここが曖昧なまま率だけを提示されるなら、その率は検証できない数字です。
  • 反応まで観察する:質問への答えの中身と同じくらい、聞かれたときの態度が判断材料になります。答えを持っている会社は身構えません。

2. 「単価◯万円のとき、額面いくら」という実額に引き直す

率の比較は誤解を生みますが、実額の比較は誤解しようがありません。

  • 同じ単価に揃えて聞く:「単価60万円の案件に入った場合、額面給与はいくらになりますか」。この形なら、定義の違いを吸収したうえで各社を横に並べられます。
  • 控除も込みで聞く:「そこから会社に引かれるものはありますか」まで確認して、初めて手取りに近い数字が見えます。
  • 年額で並べる:月2.7万円の差は、年に直せば約32万円です。細かく見える差ほど、年額にしてから判断してください。

3. いま在籍している会社なら、給与明細で検算する

転職を考えていない人にとっても、自分の数字を把握しておくことには意味があります。

  • 受注単価を確認する:分母が分からなければ率は計算できません。まず自社の営業に「今回の受注単価はいくらですか」と聞きます。答えが返らない場合、その事実自体が情報です。
  • 額面 ÷ 受注単価を自分で計算する:これがあなたの実質的な額面ベース還元率です。会社が掲げている数字と一致しているかを確かめます。
  • 控除欄を見る:健康保険料・厚生年金保険料の欄に、本人負担分を超える金額が引かれていないかを確認します。不明な控除項目があれば、その場で説明を求めて構いません。

アンサーライズの還元率は、社会保険料の会社負担分を含みません。

当社が掲げる「受注単価の60%以上(平均65%)」は、社会保険料の会社負担分を含まない、あなたの口座に振り込まれる額面給与そのものの割合です。会社負担分はこの割合とは別に、会社が負担しています。受注単価は100%開示しているので、率ではなく実額でご自身で検算できます。他社と比べるときも、同じ物差しに揃えてから判断してください。それでも当社を選ぶ理由があるかどうかは、数字を見たうえで決めていただきたいと思っています。

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