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社内SEの選考で分かれるのは、技術の差ではありません。経歴書が案件の終了日で切れているかどうかです

木目のデスクに開いたノートパソコンが1台置かれ、その右隣に付箋のはさまった厚いバインダーが2冊重ねてある写真。背景にはファイルが並んだ黒い棚と観葉植物、窓からの光がぼけて写っている

結論

「社内SEに移りたい」と書類を出して、面談まで届かない。技術が足りないのだろうと考えて、資格の勉強を始める。よくある順番です。ただ、止まっている場所は別かもしれません。SESの経歴書は、案件の終了日で切れています。参画期間、担当工程、使った言語とミドルウェア。書けるのはそこまでです。引き渡したあとにそれがどうなったかは、たいてい空白のまま残ります。

社内SEの仕事に、その終了日はありません。入れたものを止めずに動かし、壊れたら直し、使う部署から上がってくる要望をさばき、数年後には更改の稟議を書いて予算を取りにいく。同じ人が、同じシステムを抱え続けます。読む側が探しているのは、その形の仕事を回せる証拠です。工程名の一覧に、その形は出てきません。

先に断っておきます。これから引く公的な調査が示すのは、席の数と、空いている役割までです。合否の理由そのものを測ったデータはありません。経歴書の切れ目が選考を分けているという読み方は、筆者の見立てです。どこまでが調査で、どこからが見立てかを分けて書きます。

根拠

まず、移る先に何人いるのかという話からです。

1. ユーザー企業側にいるのは、4人に1人です

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2023年3月16日、「DX白書2023」の印刷書籍版を公開しました。そこに、情報処理・通信に携わる人材数の日米比較が加わっています。日本の数字は2020年国勢調査の抽出詳細集計、米国は2021年の職業雇用統計にもとづきます。

  • 日本:IT企業に所属が73.6%、IT企業以外が26.4%
  • 米国:IT企業に所属が35.1%、IT企業以外が64.9%

比率が逆です。日本でシステムを使う側の会社にいるIT人材は4人に1人で、米国はその反対に、3人に2人が使う側にいます。

ここから先は見立てです。使う側の人数が薄いなら、1人に任される幅は広くなります。ネットワークの担当なら、機器の選定から回線の契約、障害の一次対応、数年後の更改の予算取りまで、ひとりが端から端まで持つことになります。工程を切り分けて速く作れることより、ひとつの領域を丸ごと抱えられることのほうです。分業を前提に書かれた経歴書は、この読み方をされたときに答えを返せません。最初のずれはここだと考えています。

2. 席は空いています。落ちている理由は別にあります

同じIPAが2025年6月26日に公表した「DX動向2025」は、日本・米国・ドイツを比べています。DXを推進する人材の量について、日本は「やや不足している」「大幅に不足している」の合計が8割超え。米国は「やや過剰である」「過不足はない」の合計が7割、ドイツは5割程度でした。関連するディスカッション・ペーパー(2025年10月9日公表)は、この不足を85.1%という数字で示しています。

募集は出ています。書類で止まっているなら、席の数が理由ではありません。そして、量が足りないと答えている会社が、それでも人を落としている。何を見て落としているのか。ここがこの記事の問いです。

3. 効果を測る役目が、そのまま空いています

「DX動向2025」は、成果の測り方も比べています。成果指標を設定していると答えた企業は、米国とドイツでは8割以上、日本では3割以下。取り組みの成果そのものについても聞いていて、こちらは米独の8割超が「出ている」と答えたのに対し、日本は6割弱にとどまりました。「わからない」が26.2%です。

4社に1社が「わからない」と答えた。ここまでが事実です。そこから「測る人がいない」までは、ひと跨ぎあります。それでも、効果を数字で説明する役目が薄いことの現れではあると読んでいます。

その数字なら、SESの現場でも取れます。障害の件数、一次切り分けにかかっている時間、月次バッチの実行時間、利用部門から上がってくる問い合わせの件数。自分が手を入れる前と後で、どれがどれだけ動いたか。客先のデータは持ち出せませんが、担当範囲で何がどう変わったかなら、面談で話せる形にできます。【要確認】どこまで話してよいかは契約と客先規定で変わります。書き出す前に自社の営業に確認してください。

4. 「作った」と「決まった」は、読む側では別の欄です

発注する側に回るとは、決める責任を引き受ける側へ移ることです。IPAの「ユーザのための要件定義ガイド 第2版」(2019年公開)に、こう書かれています。「システムの要件を定義する責任は、構築されたシステムを利用してビジネスに貢献する役目を負うユーザにあると言われています」。決めるのは、使う側です。

だから経歴書で効くのは、工程名より、判断の残っている場面のほうです。読む側はそこを探します。「◯◯を導入」とだけ書かれた行からは、誰が何を比べて決めたのかが見えません。決めたのが客先の課長でもかまいません。並べたのが自分なら、書ける実績です。

行動提案

ここから4つ挙げます。どれも、いまの現場にいるままでできます。

案件ごとに、引き渡したあとの1行を足す

誰に引き継いだか。何を残したか。運用に乗ってから何が起きたか。どれか1つでも書ければ、経歴書は終了日で切れなくなります。

大げさな成果は要りません。手順書を書いて引き継ぎ、その後1年、同じ問い合わせが自分に戻ってこなかった。これで1行です。参画期間が3年あっても、その後がどこにも書かれていない経歴書は、読む側から見ると3年ぶんの空白になります。長さは効きません。効くのは、終わったあとの1行です。

「決めた」と書ける行は、選択肢を並べた人にしか書けません

案件の行をひとつ選んで、書き直してみてください。何と何を比べたのか。何を基準にしたのか。決まった結果、何が減ったのか。この3つが埋まらない行は、まだ作業の記録です。埋まらないこと自体が、いまの現場で何を取りに行くべきかを教えてくれます。

数字がないなら、今日から取る

過去の記録は戻ってきません。今日から週に1回、担当範囲で起きた件数と、それに使った時間を書き留めておく。それだけで、3か月後には前後の比較が作れます。

面談では「入れたあと、誰が見ていますか」と聞く

こちらから聞く質問です。情報システム部門は何人か。運用のどこまでを外部に委託しているか。夜間の一次対応は誰が持っているか。答えの中身と同じくらい、その場ですぐ返ってくるかどうか、どの項目で言いよどんだか。そこを見ます。IT人材の4人に3人はIT企業側にいます。裏返せば、迎える側の人数は少ないのが前提です。少ないこと自体は問題になりません。抱える範囲を聞かないまま入ると、想定との差が入社後に出てきます。

ここまでは移る前提で書きました。移らずに同じ材料を作る道もあります。決める人の手元に材料を届ける手順は、別記事上流に移る人が先に渡している材料に書きました。いま運用や監視にいて、そこから動きたい場合の順序は運用監視オペレーターという仕事のほうです。どちらの道でも、手元に残す記録は同じものになります。

調査から言えるのは、迎える側の会社にいるIT人材が4人に1人しかいないことと、成果が出ているかを「わからない」と答えた会社が4社に1社あること、この2つまでです。その先は各社の判断です。ただ、終わったあとを書けない経歴書は、同じシステムを何年も抱え続ける仕事の説明としては、どうしても弱くなります。書けるようにするのに転職は要りません。今日の現場で、1行ぶんの記録を残すところから始まります。

自分がいま何を抱えていて、その仕事にいくら付いているのか。両方見えますか。見える現場なら、経歴書の行は自分で作れます。

アンサーライズは受注単価を100%開示し、参画する案件はエンジニア本人が選びます。案件単価の60%以上(平均65%)を額面給与として支給し、この割合に社会保険料の会社負担分は含みません(会社が別途負担します)。昇給は案件単価の変動に連動し、年1回見直します。全部出します。どの現場でどこまで抱えるかを自分で選べれば、次に書き足す1行も自分で選べます。まずは数字を見にきてください。

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