Windows Server 2016 の期限は2027年1月12日です。残り3か月半で先に埋めるのは、サーバー一覧に足す3つの列です
結論
Windows Server 2016 の延長サポートは、2027年1月12日に終わります。今日から数えて3か月半ほどです。
この期間に運用担当へ回ってくる仕事は、移行そのものより手前にあります。いま動いているサーバーの一覧に、列を3つ足すことです。そのサーバーがどこで動いているか。ライセンスをどの契約で買っているか。同じ箱に SQL Server が載っているなら、その版はいくつか。3つだけです。
この3列が先に要ります。サポート終了後も更新プログラムを有償で受け取り続ける仕組みがあり、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)と呼びます。これを買えるかどうかは、そのサーバーがどの契約で買われ、どこで動いているかで決まります。つまり移行先を決めるより前に、延命を買えるかどうかのほうが先に決まってしまいます。順番が逆になりやすいところです。
選べないと分かった時点で、残り3か月半の意味が変わります。「間に合わなければ延命すればいい」という逃げ道が消えるからです。だから棚卸しが先です。移行先の選定は後です。
根拠
1. 期限は2027年1月12日。同じ世代のデータベースは、もう終わっています
延長サポートの終了日は2027年1月12日だと、Microsoft が2026年2月の告知で書いています。日付はここで確定しています。
見落とされやすいのは、同じ年に名前の付いたもう一つの製品です。SQL Server 2016 のサポートは、2026年7月14日にすでに終わりました。もう過ぎています。当日のブログで、その日をもってサポート終了に達したと告知されています。2016年前後にまとめて構築した環境なら、OS とデータベースが1台に同居していることは珍しくなく、OS だけ上げてもそのサーバーの期限切れは解消しません。
2. 延命は買えます。ただし、いつから払うかまで決まっています
ESU が届けるのは「緊急」と「重要」の更新プログラムだけで、期間は最長3年です。2027年1月起算なので、2030年の初めまで届く計算になります。機能追加は来ません。一般の不具合修正も来ません。
オンプレミスや他社クラウドのサーバーを Azure の管理下に置く仕組みがあり、Azure Arc と呼びます。ESU もここを通して配られます。日付は2つ。Azure ポータルで ESU を構成できるのは2026年8月3日からで、Azure Arc 経由の ESU は2027年1月13日から課金が始まります。サポート終了日の1月12日と、その翌日です。社内で説明するときに取り違えないでください。買うかどうかの判断は今日からできます。支払いが始まるのは期限の翌日からです。
この節の日付は、どれも棚卸しを急ぐ理由になります。構成は先にできるのに、判断材料の3列が埋まっていなければ構成のしようがありません。
3. 2012 R2 の「Azure なら無償」を、2016 に持ち込まない
Windows Server 2012 R2 のとき、Azure に載せ替えれば ESU が無償で付くという話が広く知られました。その記憶のまま2016の計画を立てると、見積りがずれます。前提が違います。
2016の ESU について無償の対象に挙げられているのは2つです。Azure VMware Solution 上のマシンと、Azure Local 上の仮想マシン。この2つは Azure Arc 経由の ESU に登録すべきではない、と Microsoft Learn は書いています。同じページには、VDI で動くマシンには MAK を使うようにという記述もあります。こちらは無償かどうかの話ではありません。
【要確認】通常の Azure 仮想マシンが2016世代でどう扱われるかは、筆者が当たった範囲の公開ドキュメントには見当たりませんでした。2012 R2 世代について書かれた「Azure 上なら無償」の記述は、2016を対象にした節には出てきません。無償になる前提で移行計画を組む前に、自社のライセンス窓口か Microsoft の担当に確認してください。取り違えたまま「とりあえず Azure へ」と進めると、移行の費用に年額の延命費用が乗ります。二重に払う形になります。
4. オンプレミスで買うには、ソフトウェアアシュアランスが要ります
ESU は、ライセンスを持っていれば自動で買えるものではありません。ボリュームライセンスに追加で付ける契約があり、期間中のバージョンアップ権などが付きます。ソフトウェアアシュアランスと呼びます。オンプレミスのワークロードにはこれが必要だと、Microsoft Learn が明記しています。同等のサーバーサブスクリプションでも構いません。購入経路も、EA・EAS・EES・SCE といったボリュームライセンスか、Microsoft Open Value プログラムに限られます。
そしてもう一行、重い注記があります。SPLA(サービスプロバイダーライセンス契約)は Windows Server 2016 の ESU では利用できないと、2016向けの Azure Arc のドキュメントに書かれています。ホスティング事業者から月額で借りている形のサーバーは、この経路が最初から存在しません。延命という選択肢は、検討する前に消えています。
棚卸しの2列目を「ライセンスをどの契約で買っているか」にするのは、このためです。運用担当がふだん見ない列です。見ないまま「ESU で凌ぎます」と報告すると、あとで契約の担当者から差し戻されます。
5. 上げ先は塞がっていません。急ぐ理由は契約の側にあります
Windows Server 2016 からのインプレースアップグレードは、2019・2022・2025 のいずれにも対応しています。Microsoft Learn のアップグレード表にそう書かれています。
ここで前提が1つ変わりました。Windows Server 2022 までは、クラスター構成でないシステムが一度に飛べるのは2世代までというルールでしたが、Windows Server 2025 からは4世代まで飛べます。2016から2025への直行が通るのはこのためで、途中の版を踏み台にして2回上げる必要はありません。クラスターのローリングアップグレードだけは、従来どおり1世代ずつです。
経路は開いています。詰まるとすれば、ここまでの3節で見た契約と稼働場所のほうです。
行動提案
今週、サーバー一覧に3列足す
動いている場所、ライセンスの契約形態、同居している SQL Server の版。この3つを埋めます。
1列目は運用担当の手元で埋まります。2列目は埋まりません。契約書を持っているのは客先の情報システム部門か、自社の営業だからです。つまり2列目は、聞くことそのものが作業になります。3列目は SQL Server が載っている台だけでよいので、数は絞れます。
3列が埋まると、それぞれのサーバーが「延命を買える」「買えない」「そもそも無償」のどれに落ちるかが分かります。買えない列に何台載るか。この3か月半の計画は、ほとんどそこで決まります。移行先の検討は、そのあとで足ります。
ベンダー確認の要るものから先に投げる
インプレースで上げられるかどうかを最後に決めるのは、OS ではなくその上で動いているアプリケーションです。業務パッケージや古いミドルウェアの対応版を問い合わせると、返事まで数週間かかることがあります。3か月半のうち、自分の手では縮められない時間がここです。待ち時間です。先に投げてしまって、待っている間に棚卸しを進めるほうが順序として合っています。
この棚卸しは、経歴書に残る形で書ける
移行案件で評価されるのは、手順書どおりに作業した記録よりも、どのサーバーをなぜその方式にしたかという判断のほうです。台数・契約形態・移行方式の内訳まで書ければ、それは経歴書に書ける実績になります。日々の運用が実績に翻訳しにくいのは、判断の跡が残らないからでした。棚卸しの表は、その跡そのものです。
期限は動きません。動かせるのは、どの順番で手をつけるかだけです。移行先を選ぶより先に、延命を買えるかどうかを確かめてください。その順番で作った表が、客先にも自分の手元にも残ります。
「このサーバー、ESU を買えますか」。その質問に答えられる資料が客先にあるかどうかは、参画前に聞けます。
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