BLOG

技術・トレンド

VMware利用企業の77.0%が、すでに移行先を探しています。決め手に挙がったのは機能ではなく、費用が読めるかどうかでした

木目のデスクに開いたノートパソコンが置かれ、その右手前に印刷された資料が1部、見開きのまま置かれている写真。資料の上には黒いボールペンがあり、奥には色とりどりのインデックスが並んだリングノートと黒縁の眼鏡、白い鉢の観葉植物が並んでいる。背景にはガラス越しにサーバーラックが数列並び、青いランプが点灯している。全体に青みがかった落ち着いた色調で、人は写っていない

結論

VMware のサーバー仮想化基盤を使っている情報システム部門の担当者・責任者109名のうち、77.0%がすでに移行先を比較検討中か、移行を進めています。サイバートラストが2026年5月26日に実施した調査の数字です。業界メディアはこれを「VMware利用企業の77.0%」と紹介しています。

ただし、どこへ移るかは決まっていません。同じ調査で移行先の選定基準として最も多く挙がったのは「ライセンス・運用コストの予見可能性」で62.4%。「機能の豊富さ・カバー範囲の広さ」は3位の22.0%にとどまりました。製品の機能比較では決着していません。まだ途中です。

ここが現場の運用担当に効いてきます。費用が読めるかどうかを決めるのは、ベンダーの資料ではありません。いま動いている環境の数字です。課金の単位に掛ける先の数、つまりソケット数やコア数や台数を誰かが数えなければ、候補は並びません。

だから移行案件で先に要るのは、移行先の製品を触った経験より、いまの環境を数えてその数字の意味を説明できることだと筆者は考えます。移行先はまだ絞られていません。Broadcom 側の条件も動いています。この時期に製品を1つ決めて勉強するのは、賭けに近くなります。

根拠

1. 半数近くが、まだ比較検討の段階にいます

調査の対象は、VMware のサーバー仮想化基盤を現在利用している情報システム部門の担当者・責任者109名です。過去2年以内に仮想化基盤の導入・移行・更新を検討または実施した層に絞られています。

内訳は2つ。「移行先を決定し、移行を進めている」が28.4%、「移行先を比較検討中」が48.6%。合わせて77.0%が具体的な行動を始めていると整理されています。

ここで注意が要ります。母集団がもともと動いている層なので、この77.0%を市場全体の比率として読むと過大になります。読めるのは比率より内訳です。比較検討の段階に半数近くが留まっているなら、提案と見積りの往復はこれから続きます。しばらく続きます。

2. 決め手は、費用が数年先まで読めるかどうかでした

選定基準の1位は「ライセンス・運用コストの予見可能性」で62.4%、2位は「長期サポート体制の充実度」で49.5%。3位の「機能の豊富さ・カバー範囲の広さ」は22.0%でした。上位2つが問うているのは製品の性能ではありません。数年先まで費用とサポートが読めるかです。

予見可能性という言葉は抽象的に見えますが、実務では具体的な作業に落ちます。来年の請求額を出すには、課金の単位に掛ける先の数が要ります。コア単位の課金なら物理コア数、仮想マシン単位なら台数、ソケット単位ならソケット数です。候補ごとに単位が違います。掛ける先の数をそろえて、はじめて候補どうしを並べられます。

その数を持っているのは現場です。台帳が最新なら台帳から出ます。最新でなければ、ホストに入って数えるところから始まります。ここが運用担当に回ってくる仕事です。

3. 棚卸しでいちばん時間を食うのは、依存関係と可用性要件です

SCSK が2026年5月25日に公開した移行ガイドは、計画策定の第一歩に現状環境の棚卸しを置いています。挙げられている中身は5項目です。VM一覧、アプリ依存関係、可用性要件、運用体制、不要VMの整理。同じガイドは最も多い失敗原因を「計画と順序を軽視したまま移行を進めてしまうこと」とし、その例として一発切り替えと、移行後の運用体制を後回しにすることを並べています。

この5項目のうち、構成情報から機械的に出てくるのは一覧だけです。依存関係と可用性要件は出てきません。どのマシンがどれを前提にしているか、止めてよいのは何分か。業務側に聞くか、通信のログから起こすことになります。ここが山です。

不要VMの整理が項目に入っているのは、費用に直接効くからです。課金の単位がコア数でも台数でも、動かしていない台を一緒に持ち込めば、そのぶん払い続けます。止める判断をする人が決まっていない台は、現場に残ります。よく残ります。

4. 移行先は2系統。並ぶ先の数は、5通りあります

先の移行ガイドの分け方は2つです。パブリッククラウドへ移るか、ほかの仮想化基盤へ移るか。クラウド側は、VMware の構成を維持したまま移す形と、クラウドが提供する仮想基盤へ移る形の2つ。ほかの仮想化基盤として挙がっているのは Hyper-V、Nutanix AHV、KVM の3つです。足すと5通り。この足し算は筆者のもので、ガイドが「5つ」と書いているわけではありません。

差はどこに出るか。ガイドの評価を1つずつ開くとこうなります。

  • VMware の構成を維持したままクラウドへ移す形は、オンプレミスと同じ運用を前提にできるので難易度が低く、そのかわりライセンスは引き続き要ります。
  • クラウドが提供する仮想基盤へ移ればライセンスから離れられますが、ネットワーク設計と運用プロセスの作り直しが伴います。ガイドはこの2つを二段階で踏むやり方を現実的だとしています。
  • Hyper-V は Windows Server に標準で入るため、追加の仮想化ライセンス費用を抑えられます。仮想ハードウェアの考え方が違うので、台ごとの変換と検証は残ります。
  • Nutanix AHV は仮想化とストレージと運用をまとめて整理できます。そのかわり、運用の考え方ごと入れ替わります。
  • KVM はソフトウェア自体のライセンス費用がかかりません。設計から運用まで自社で担える体制が前提になります。

読めないのは、次に参画する現場がこの5通りのどれに当たるかです。どれでもありえます。

5. ライセンスの前提は、買収の直後に一度変わっています

永続ライセンスの販売は終わり、契約はサブスクリプションへ全面移行しました。買い切り型のライセンスに保守を組み合わせる買い方は、もう提供されていません。課金の単位も変わりました。CPU のコア単位になり、1CPU あたり最低16コア分のライセンスが必要です。実際のコア数が16より少なくても、16で数えます。切り上げです。NTT東日本が2026年2月12日に公開した整理では、この最低16コアのルールは現在も続いています。

【要確認】最低購入量を16コアから72コアへ引き上げるという情報が2025年3月末に販売パートナー向けに流通し、2025年4月に撤回されたと報じられました。ただし、撤回後の条件は地域や契約で一様でないとする整理もあります。客先で数字を口にする前に、見積書とライセンスの窓口で現在の条件を確かめてください。

6. vSphere Standard が戻る、という話が出ています

2026年9月2日、The Register が、Broadcom が小規模環境向けに vSphere Standard を強化する方針を示したと報じました。VMware Explore 2026 での発言としてです。話したのは2人。Cloud Foundation 部門の最高製品責任者、Paul Turner 氏。それと、Broadcom インフラストラクチャ・ソフトウェア・グループのプレジデント、Ram Velaga 氏です。Broadcom の公式発表ではありません。取材による報道です。

この方針が効くのは小規模な環境です。想定される規模として「およそ128コア」という言い方が出ています。ただし、これは例示です。契約上の上限として示された数字ではない、と技術ブログが注意を促しています。

【要確認】提供開始日、対象バージョン、価格、最小購入量はまだ出ていません。機能の範囲やサポートの形も同じです。詳細は2026年10月13日からフランクフルトで開かれる VMware Explore Germany で示される見込みとされています。小規模な環境の見積りを作っているなら、この発表を待つ判断も選択肢に入ります。

行動提案

仮想化基盤の一覧に、課金の単位になる列を足す

足すのは5列です。物理ホストのソケット数、物理コア数、ホストごとの仮想マシン台数、仮想マシンの OS と版、止めてよい時間。依存関係はここに入りません。列ではなく別表になるからです。分けます。

先の2列は、どの候補でも最初に聞かれます。コア単位の課金では、載っている業務が1つしかないホストも1台ぶん数えられるからです。だから寄せられるホストと寄せられないホストを、先に分けておきます。それだけで見え方が変わります。

最後の列は、埋まらないまま残ることが多いところです。止めてよい時間を決めるのは業務側で、運用担当の手元に答えはありません。埋まらない列があるなら、誰に聞けば埋まるかまで書いて渡します。それだけでも、見積りを作る側の手間は変わります。

どの製品の資格が効くかは、まだ決まりません

移行先の候補が絞られていないからです。資格が動かすのは単価の額というより、案件の要件欄でどの役割の欄に座れるかでした。資格の効き方は要件欄から逆算するものなので、要件欄がまだ定まらない時期に先回りしても、当たるかどうかは運になります。

いま確実に効くのは、移行先を問わず要る作業です。棚卸し、依存関係の整理、移行後の監視とバックアップの設計。どの候補に決まっても要ります。例外はありません。

棚卸しの表は、そのまま実績になります

移行案件の経歴書を当社が読むとき、目が止まるのは、作業手順をなぞった記録よりも、どの台をなぜその方式にしたかという判断です。筆者はそう見ています。サーバー一覧に列を足す作業が経歴書に書ける実績になるのも、同じ理由です。台数、移行方式の内訳、見送った台とその理由。表に残った数字が、そのまま材料になります。

移行先が決まるのは、これからです。決まる前にできるのは、数えて渡すところまで。それで足ります。その表は、見積りを作る側にも、次の現場に入る自分にも残ります。

「この基盤、ホストは何台でコアはいくつですか」。その数字を持っている現場に入れるかどうかは、参画前に聞けます。

アンサーライズは受注単価を100%開示します。参画する案件はエンジニア本人が選びます。案件単価の60%以上(平均65%)を額面給与として支給し、この割合に社会保険料の会社負担分は含みません。会社が別途負担しています。移行案件やインフラ運用の求人を、単価と工程の情報つきで見比べてください。

RELATED

→ ブログ一覧に戻る