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単価・お金

「精算幅140〜180時間」の罠。超過1時間と控除1時間は、同じ値段ではありません

デスクの上に勤怠表を広げ、電卓で月の稼働時間を計算しているビジネスパーソンの手元

結論

SES契約に書かれている「精算幅 140〜180時間」。この数字を「その範囲で働けばいい時間」としてだけ読んでいる人が多いのですが、精算幅が本当に決めているのはそこではありません。決めているのは、幅からはみ出した1時間が、いくらで清算されるかです。

そして広く使われている「上下割」という方式では、超過1時間の単価と、控除1時間の単価が一致しません。増えるときの単価のほうが安く、引かれるときの単価のほうが高い。同じ10時間のズレでも、忙しい月に増える額より、暇な月に引かれる額のほうが大きくなります。

だから確認すべきは、幅が広いか狭いかではありません。「超過と控除の単価は、上下割ですか、中間割ですか」。この一問です。そのうえで、その精算条件が自分の給与にどう連動しているのかを、契約書とは別に確認してください。

根拠

精算幅がどこで効いてくるのかを、3つに分けて分解します。

1. 「140〜180時間」という数字は、7〜9時間×20日から来ている

精算幅とは、その月の稼働時間がこの範囲に収まっていれば契約どおりの金額が支払われる、という取り決めです。上限を超えれば超過精算、下限を割れば控除精算が発生します。

  • 幅の根拠:業界メディアで示されている考え方では、週5日勤務で1日7〜9時間、月20日稼働を想定した幅が140〜180時間です。週4日なら112〜144時間というように、稼働日数に応じて幅も動きます。
  • 幅の中では金額が動かない:145時間でも175時間でも支払額は同じです。裏を返せば、30時間ぶんの差が金額には出ないということでもあります。
  • 幅を設けない契約もある:固定精算といって、稼働時間にかかわらず金額を固定する方式です。超過も控除も発生しません。

2. 上下割では、超過単価と控除単価が非対称になる

ここが本題です。単価60万円・精算幅140〜180時間という条件で、業界メディアが示している計算式に当てはめてみます。

  • 超過は上限で割り、控除は下限で割る:超過単価は 60万円 ÷ 180時間 = 3,333円/時間。控除単価は 60万円 ÷ 140時間 = 4,286円/時間。1時間あたり約950円の差がつきます。
  • 10時間ズレたときの実額:190時間だった月は約+33,000円。130時間だった月は約−43,000円。同じ10時間の増減なのに、1万円近い差が出ます。
  • 中間割なら対称になる:60万円 ÷ 160時間 = 3,750円/時間を、超過にも控除にも同じように使う方式です。増えるときと減るときで単価が変わりません。
  • どちらに有利な設計か:業界メディアでは、上下割は発注する側が超過コストの増加を抑えられる一方、受注する側は控除額が大きくなりやすい設計だと指摘されています。

3. 精算幅は「会社と客先の契約」であって、「あなたの給与規程」ではない

混同しやすいところですが、この2つは別の契約です。

  • 契約は2本ある:ひとつは所属会社と客先の間のSES契約で、精算幅があるのはこちらです。もうひとつはあなたと所属会社の間の雇用契約で、給与と残業代を定めているのはこちらです。精算幅が直接あなたの給与額を決めているわけではありません。
  • ただし単価連動なら波及する:受注額の何%を給与にする設計であれば、精算による受注額の増減はそのまま給与に響きます。連動しているかどうかは会社ごとに違うので、給与規程で確認してください。
  • 割増賃金は精算幅とは別の話:厚生労働省は、法定労働時間を1日8時間・週40時間とし、法定時間外労働には1時間あたりの賃金の25%以上、1か月60時間を超える部分には50%以上、法定休日労働には35%以上の割増賃金が必要だとしています。客先との精算がどうなっていても、これは雇用主の側の義務です。
  • 下限割れの扱いは必ず確認する:稼働が下限に届かなかった月に給与が減るのかどうかは、給与規程の定めと、稼働が減った原因が誰にあるかによって変わります。契約書と就業規則を確認し、判断がつかない場合は労働基準監督署や専門家に相談してください。

行動提案

精算条件を自分で把握し、明細で検算できる状態にするための3つのアクションです。

1. 契約の3点を、数字で聞く

「精算幅は何時間ですか」だけでは足りません。金額に効くのは割り方のほうです。

  • 幅:「この案件の精算幅は、何時間から何時間ですか」。
  • 割り方:「超過と控除の単価は、上下割ですか、中間割ですか」。上下割だと分かれば、非対称になることがその場で確定します。
  • 単価:「その計算の元になる受注単価はいくらですか」。ここが分からなければ、超過単価も控除単価も計算できません。

2. 自分の超過単価と控除単価を、参画前に計算しておく

3点が分かれば、あとは割り算だけです。先に出しておけば月末に慌てません。

  • 上下割の場合:超過単価 = 単価 ÷ 上限時間、控除単価 = 単価 ÷ 下限時間。2つを並べて、差がいくらあるかを見ます。
  • 中間割の場合:単価 ÷ 中央値。ひとつの数字で済みます。
  • 年額に直す:月1万円の差でも年12万円です。1か月ぶんの金額で判断せず、年に直してから受け止めてください。

3. 勤怠と給与明細を、毎月突き合わせる

計算した数字がそのとおり動いているかは、明細でしか確認できません。

  • 稼働時間を自分でも記録する:客先の勤怠と自社への報告が食い違っていないかを、月次で確認します。
  • 幅を出た月は検算する:事前に計算した単価どおりの増減になっているかを確かめます。
  • 説明を求めてよい:計算が合わない、あるいは根拠が示されない場合は、その場で確認して構いません。答えられるかどうかも判断材料になります。

受注単価が見えていれば、超過単価も控除単価も、ご自身で計算できます。

アンサーライズは受注単価を100%開示しています。案件単価の60%以上(平均65%)を額面給与として支給し、この割合に社会保険料の会社負担分は含みません(会社が別途負担します)。単価が分かっていれば、精算幅と割り方を聞いたときに、超過単価も控除単価もその場でご自身で計算できます。参画する案件はご本人に選んでいただき、希望しない案件への一方的なアサインは行いません。条件の数字を見たうえで、その案件を受けるかどうかを決めてください。

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