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現場を変える時期は、飽きたかどうかでは決まりません。決めているのは、直近3か月で経歴書に足せた行の数です

窓際の白いデスクに黒いアームのデスクランプが灯り、開いたままの濃いグレーのノートパソコンが置かれている写真。手前には薄茶色の冊子が5冊ほど重ねられ、その上に黒縁の眼鏡がたたんで置かれている。右手にはグレーの鉢に植えられた小さな観葉植物。背景はガラス越しの棚とファイルで、青みがかったグレーの落ち着いた色調

結論

先に答えを書きます。現場を変える時期は、飽きたかどうかでは決まりません。決めているのは、直近3か月の記録です。

数えるものは3つあります。手順書や前例を見ずに終わらせられる作業が、担当業務の何割になったか。この3か月で新しく任された判断が何件あったか。経歴書に足せた行が何行あったか。3つとも止まっているなら頭打ちです。1つでも動いているなら、いまの現場にまだ伸びしろがあります。

後回しにすると間に合いません。業界メディアで示されている相場では、SES契約の更新サイクルを1〜3か月とするものと3〜6か月とするものがあり、長いものでも半年ほどです。気づいてから動き出すと、たいてい1周ぶん遅れます。測る間隔は3か月でかまいません。やめないことだけが条件です。

「経歴書に書くことがない」という状態の正体は別の記事で扱いました。この記事が扱うのは、その手前の問いです。書けないのは、やったことを棚卸しできていないからなのか。それとも、現場が新しい経験を渡していないからなのか。直近3か月の記録で、この2つを切り分けます。

ただし、3つとも止まっていても、すぐ現場を移る話にはなりません。先に現場の中で2つ試します。それでも動かなければ、更新の1〜2か月前に自社の営業へ伝えます。

根拠

1. 同じ現場で増えるのは速さで、増えにくいのは任される範囲です

同じ作業を半年続ければ、確実に速くなります。障害の一次切り分け、問い合わせの対応、月次の集計。どれも手が覚えて、迷う時間が消えていきます。ここは伸びています。伸びたのは速さです。種類ではありません。

作業の種類は、放っておくと増えません。現場は人を入れた時点で役割を決めていて、その外側の仕事は別の人に割り振られています。設計の理由を知らされないまま、手順どおりに動かす期間が長引いたとします。短くなるのは1件にかかる時間だけで、できることの一覧は変わりません。本人からは、これが成長に見えます。厄介なのはそこです。

業界メディアでも、同じ現場に長く留まるデメリットが2つ挙げられています。新しい技術に触れる機会が減ること、同じ作業を繰り返してスキルが止まることです。

2. 頭打ちは、3か月分の記録で測れます

直近3か月にやった作業を思い出せる範囲で書き出し、次の3つを数えます。

  • 手順書を見ずに終わらせられる作業の割合:担当業務のうち、前例や手順書を開かずに完了できるものがどれだけあるか。
  • 新しく任された判断の件数:「どちらにするか」を自分が決めた場面を数えます。作業を任された回数ではなく、判断を任された回数です。
  • 経歴書に足せた行数:3か月前の経歴書と並べて、書き足せる行が何行あるかを数えます。0行なら、外から見える変化は起きていません。

いちばん早く止まるのは判断の件数だと筆者は見ています。作業は増えなくても毎日回り続けるので、止まったことに気づきにくい。判断のほうは、任されなくなった月がはっきり分かります。年代別の記事でも同じでした。年代が上がるにつれて、引き受ける判断の量が増えていました。

割合には目安があります。8割を超えたあたりから、その現場から受け取れる新しい情報は目に見えて減る、というのが筆者の見立てです。根拠のある基準ではないので、目安として使ってください。8割を超えていること自体は、悪い状態ではありません。現場に必要とされている証拠でもあります。ここからが問題です。8割を超えてから3か月たっても、残りの2割に手が届かない。この状態が頭打ちです。割合ではなく、動かない期間を見ます。

3. 0行が2期続く理由は3つあり、自分で動かせるのは1つだけです

経歴書に足せた行が2期連続で0行だった場合、思い当たる理由は3つに収まることが多いと筆者は感じています。担当範囲が手順書の内側で完結していて、判断が必要な仕事は別の会社の人に渡っている。あるいは現場が安定していて、変更そのものが起きていない。もう1つは、本人が交渉していない場合です。やりたいと伝えた記録がどこにもない状態を指します。

最後の1つだけは自分で動かせます。前の2つは現場の構造の側にあります。担当範囲の線は商流のどこに座っているかで決まりますし(商流の記事)、変更が起きないのは現場の事情です。どちらも本人の努力では向きが変わりません。先に見分けます。どれに当たっているかで、次の手が変わります。

4. 移っても残るもの

現場を移ると、全部は持ち出せません。残るのは、何を判断し、なぜその判断にしたかを言葉で言える部分です。触っていた監視ツールの画面の位置や、その現場だけの申請フローは、次の現場では使えません。

だから、測ったあとにやることがあります。いまの現場で言葉にできていない経験を先に言葉にしておかないと、3年いた現場が経歴書の3行で終わります。

5. 止まっていた期間のつけは、次の更新で単価の据え置きとして回ってきます

単価を動かす要素は2つです。商流のどこに座っているか。案件の要件欄でどの役割の枠に入るか。どちらも既出の論点で、商流の記事で扱いました。役割が変わらないまま年数だけが積み上がると、営業は次の更新で単価が上がる理由を説明しにくくなります。筆者はそう考えています。

金額の見積もりは書きません。裏の取れた相場が手元にないためです。順番だけは言えます。単価の交渉材料は、交渉の席に着く前の3か月で作られます。

行動提案

3か月分を4列で書き出す

紙でもスプレッドシートでもかまいません。列はこの4つです。

  • 作業名
  • 手順書を見たか
  • 自分が決めたか
  • 経歴書に書けるか

直近3か月の作業を行として並べ、2列目に「見ていない」が付いた行の割合を出します。3列目の「はい」の件数が、新しく任された判断の数です。4列目に「はい」が付いた行を集めれば、そのまま経歴書に足せます。1時間ほどで埋まるはずです。埋めてみると、思っていたより3列目が空いています。

現場の中で試せる手を、2つだけ先に打つ

1つめは、「いまの担当の隣にある作業を引き受けたい」と現場のリーダーに口頭で伝えることです。空いている仕事は、たいてい誰かが面倒だと思っている仕事の側にあります。2つめは、判断が行われる打ち合わせに同席させてもらうことです。発言しなくてかまいません。判断の材料が何だったかが見えれば、それだけで3か月後の経歴書に行が増えます。

この2つを打って3か月(1期)動かなければ、現場側に余地はありません。そう判断してよいと筆者は考えています。

動かなければ、更新の1〜2か月前に自社の営業へ伝える

窓口は自社の営業です。業界メディアでも、現場変更の相談は契約終了の1〜2か月前が目安とされています。相談先に挙がるのは、所属企業の営業や上司です。客先に直接伝えると、契約の話と人の話が混ざって、かえって動きが遅くなります。

伝えるのは記録です。不満は材料になりません。「この3か月、経歴書に足せた行が0行でした。次は設計に関わる工程に入りたいです」。この2文で足ります。数字が入っていれば、営業は次の提案先を具体的に絞れます。単価交渉を更新月の3か月前から始める理由と同じで、早く渡すほど選べる案件が多くなります(単価交渉の記事)。

頭打ちは、気分として現れる前に記録として現れます。やる気が落ちた月より、経歴書が増えなくなった月のほうが先に来ると筆者は感じています。だから3か月ごとに数えておけば、現場を変える判断は感情の問題から事務の問題に変わります。決めるのは更新の前で間に合います。慌てる必要はありません。

「この3か月で、経歴書に足せた行はありますか」。答えが0行のまま次の更新を迎えないために、やれることがあります。

アンサーライズは、参画する案件をエンジニア本人に選んでいただきます。いまの現場で止まっていると感じたら、次の更新を待たずに相談してください。受注単価は100%開示し、案件単価の60%以上(平均65%)を額面給与として支給します。この割合に社会保険料の会社負担分は含みません。会社が別途負担しています。単価が見えていれば、どの役割に移ると何が変わるのかを、自分で計算しながら次の現場を選べます。

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